埼玉県警人権侵害

準起訴(付審判の請求)


 
1999年12月29日
 
川越市宮下町2−1−3
川越区検察庁
検察官・佐久間進様
 
 私、1999年1月7日付で浦和地方検察庁に宛て、文書により、特別公務員職権濫用罪他の告訴を申し立てた者であります。この度、12月28日付けで、本件について不起訴処分をしたとの連絡をいただきました。不服がありますので、刑事訴訟法第262条に基づき、本件を裁判所の審判に付することを請求するための請求書を提出いたします。
 よろしくお取り扱いの程、お願い申し上げます。
 
 
 
1999年12月29日
 
 
 
刑事訴訟法第262条に基づく請求書
 
 
川越市宮下町2−1−3
浦和地方裁判所
川越支部     御中
 
 
 
 
 
 私、1999年1月7日付で浦和地方検察庁に宛て、文書により、特別公務員職権濫用罪他の告訴を申し立てた者であります。この度、12月28日付けで、川越区検察庁、佐久間進検察官から本件について不起訴処分をしたとの通知を受けました。不服がありますので、刑事訴訟法第262条に基づき、本件を裁判所の審判に付することを請求いたします。
 
 
 私が受けた被害の状況は次の通りです。
 
 1998年10月1日午前8時56分川越駅発、JR川越線列車内において、私は同電車に乗り合わせた石川昌彦巡査(大宮鉄道警察隊所属)から警察隊内への同行を求められました。私はこれに同意し、9時40分までの約束で、電車の大宮駅到着直後、大宮警察隊に任意同行しました。隊内において当初、私は器物損壊罪に当たるとの疑いをもって同行を求めたとの説明を石川巡査から受けました。私の所持品の一部の任意提出をしなければ9時40分に帰すことはできないなどと言われて迷惑を受けながら、私の意に反して9時45分過ぎ、約束よりも遅れて解放されました。
 午前の約束に基づき、私は午後1時半再び大宮警察隊に任意出頭しました。午後には、私は軽犯罪法違反の被疑者ということにされました。午前と「容疑」が変わったことについては、何の説明もありませんでした。そして午後1時半以後、被疑者としての取り扱い、取り調べ、を受けました。この際、私は「自己の意思に反して供述をする必要がない旨」告げられることはありませんでした。私は取り調べに当たって、私が行った行為を明確に述べ、私の意思に従って供述しました。警察官達は私の意思に反する「私の行為が軽犯罪法違反に該当するという事実を認め、今後同様の行為を行わない」という供述を長時間に渡って執拗に求めました。遅くとも午後3時には事実の確認は終わり、その後は私への警察官の意思、判断の強要だけになったので、私はこれ以上の取り調べを受ける必要はないと判断し、私は私の意思に基づき警察隊を退去して帰宅することを希望し、これを認めるよう要求しました。警察(石川巡査他)は、「上記の供述をすれば帰宅を許すが、しなければ帰さない」と述べ、私を私の意に反して拘束しました。拘束は同日午後6時半まで続きました。私はこの間自由を奪われました。なお、私は最後まで軽犯罪法の何条何項の違反であるのかという説明を受けておりません。
 
 私は、憲法第31条(何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない)、第33条(何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない)、第34条(何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。・・・・)に示された私の権利を侵害されたと考えます。
 
 本件は、刑法第193条(公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する)、第194条(裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、六月以上十年以下の懲役又は禁錮に処する)について告訴したものであります。1998年10月1日、大宮鉄道警察隊所属の複数の警察官は、私を私の意思に反して拘束しました。これは警察官の職権を濫用して、逮捕、監禁したことにあたると考えます。逮捕、監禁であるとは認定されないにしても、自由に帰宅するという私の権利の行使を妨害したと認定されるべきものであると考えます。
 なお、当日、警察官たちは、私の意思に反する供述を求め、その旨供述しなければ帰宅を許さないと何度も述べ、供述を求めました。これは私の帰宅するという自由に対して害を加える旨を告知して、私を脅迫したものであり、刑法第222条(生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する)にあたる行為です。さらに、事実、私の意思に反して、帰宅を許しませんでした(拘束しました)。これは、私の自由に対して害を加える旨を告知して脅迫し、私が帰宅するという権利の行使を妨害したものであり、刑法第223条(生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する)に該当すると考えます。刑法193条、194条違反の審判に併せて、刑法222条、223条違反についても審判いただきますようお願いいたします。
 なお、警察官たちの行為はさらに、刑事訴訟法第198条(・・・・被疑者は逮捕又は拘留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる)(前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない)に明らかに違反しているものであったことを申し添えます。
 
 私はこの件に関し、鉄道警察隊宛に1998年10月3日付、埼玉県警察本部長様宛に10月2日、10月18日、10月31日付及び12月1日付で手紙を差し上げております。事件当日の状況及びその後の警察の対応についての証拠として、写しを添付いたします。
 
 
 本件、告訴に対する検察官による処分が不起訴であったことの理由は、1.犯罪行為を立証するための十分な証拠がないこと、2.犯罪行為が行われたとしても、刑罰をもって処分するのが適切な程、重大な犯罪ではないこと、の2点だと伺っております。
 第1点については、本件が警察署(警察隊)の取調室という密室で行われた警察官による事件であることから、物的証拠が残ることがきわめて難しいものであるという点の考慮を怠っていると考えられます。密室における警察官の違法行為を黙認することのない判断が求められます。
 第2点のような寛大な処置は、犯人がその罪を十分反省している時のみにとられるべきであります。事件当日午後の5時間に渡る取り調べ及び拘束は、私に私の意思に反する供述を求め、供述しなければ家に帰さないと述べ、現実に家に帰さなかったものであります。私が家に帰ることを要求したにもかかわらず、これを彼らが職権を濫用して妨害、拘束したのが事実ですが、彼らは、供述をするよう依頼した、引き取り人が来るまで待つことを依頼したと、言い訳、虚偽の供述をしています。1度は依頼があったにしても、私は即座にそれを拒否しました。警察が引き取り人を呼ぶこと自体が私の意思に反することであることを私は警察官に明確に申し述べており、引き取り人の到着を私が同意して待っていた筈がありません。彼らの行ったのが強制ではなく依頼だけであるという主張は、現実に私が5時間という長時間引き留められたという事実、状況から明らかであります。彼らはこのように、虚偽の申し立てをして罪を免れようとしています、罪の反省がありません。重大犯罪ではないとしても、今後の警察の捜査、取り調べが適正、適法に行われるようにするために、今回の不起訴処分は適切でないと考えられます。
 
以上
 
 
 
添付文書
1.鉄道警察隊宛、1998年10月3日付手紙の写し
2.埼玉県警察本部長宛、1998年10月2日付手紙の写し
3.埼玉県警察本部長宛、1998年10月18日付手紙の写し
4.埼玉県警察本部長宛、1998年10月31日付手紙の写し
5.埼玉県警察本部長宛、1998年12月1日付手紙の写し
埼玉県警人権侵害